第3回 旅行予約サイト選びは慎重に
新型コロナウイルス感染症の拡大は社会に大きな打撃を与え、私たちの日常を一変させてしまいました。ゴールデンウイークに計画していた旅行やレジャーも、外出自粛や、「ステイ・ホーム(家にいましょう)」のかけ声で諦めなければなりませんでした。
これに伴い、旅行のキャンセルに関する相談が増えています。他県への旅行を計画し、スマホで見つけたホテルを予約しました。旅行代金をクレジット決済しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大が報じられたため、キャンセルしようと旅行サイトを運営する事業者に電話をしました。すると、電話に出たのは外国人で、片言の日本語しか話せないため、意思の疎通ができません。仕方なく直接ホテルにキャンセルを伝えましたが、旅行サイトを通して欲しいと言われ、受け付けてもらえません。ホテルの予約確認メールには、「キャンセルされた場合は、返金いたしません」と書かれていました。2ヵ月も先の予約なのにキャンセルできないというのはおかしいので、全額返金してもらいたいという相談があります。
相談者が利用していた旅行サイトは、海外に拠点を持つ「海外OTA」(Online Travel Agent)と呼ばれるもので、ここ数年トラブルが増加していることから、消費者庁や観光庁でも注意を呼びかけています。サイトの利用規約には、キャンセルはできないこと、予約申し込みをすることにより、利用規約及び個人情報保護方針に同意したとみなされると明記されていましたので、返金を求めることは難しいと思われました。
インターネットでの旅行予約は、店舗での予約と異なり、いつでも気軽に予約できる反面、対面で詳しい説明を受けることができず、予約内容やキャンセル、契約の変更などの契約条件は、自らが利用規約等をよく読んで確認しなければなりません。また、予約サイトが海外の事業者の場合には、ひとたびトラブルが発生した場合に、言語や商習慣の違いから解決が困難になることがあります。サイトを利用する前に、運営事業者が日本の旅行業登録を受けているのか、顧客対応窓口が設置され、日本語の対応が可能かなど、事業者の基本情報を調べておくことも必要です。
旅行を楽しむことができるのは、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束してから。まだまだ先は見通せませんが、旅行予約サイト選びは慎重にお願いします。