【相談】こんな請負工事業者には注意しましょう
【事例1】 自宅の外壁の塗装をしたいと思い、インターネットで施工業者を探していた。事業者紹介サイトを通じて連絡をしてきた業者が、外壁の様子を確認したいというため、現地を確認してもらったうえで見積もりをしてもらうことにした。 後日業者が来訪し、こちらの希望を伝えながら想定される工事内容について説明を受け、最終的に150万円の見積額を提示され、納得して契約をすることにした。業者から、材料の仕入れのために施工前に代金を全額振り込んで欲しいと依頼されたため、契約の翌日、150万円全額を業者の指定口座に振り込んだ。なお、作業スケジュールについて、業者は「ほかの現場の仕事もあって忙しいが、早々に足場を立てて順次作業を開始し、3週間以内に工事を完了する」と話していた。 ところが、1週間を経過しても業者から何の音沙汰もなく、不審に思い業者に電話をしたところ、会社の電話にも社長の携帯電話にもつながらなかった。会社に何度かかけるうち、1度だけ事務員と思われる女性が対応し、「社長に伝えておく」と言われたが、結局、折り返しの連絡はなかった。会社まで行ってみたが事務所は真っ暗で人の気配がなかった。工事が行われないのであれば、支払ったお金を取り戻したい。 (40代 男性) |
<センターの対応>
業者を知ったきっかけは事業者紹介サイトだったものの、自宅を訪問してから、工事内容の説明と見積もりを提示されて契約に至ったことから、訪問販売とみなすことができ、クーリング・オフが可能だと考えました。クーリング・オフの期日が迫っていたため、当日中にクーリング・オフのハガキを発送するよう助言しました。
消費生活センターからも業者に電話をしてみましたが、電話がつながることはありませんでした。交渉ができなければ、消費生活センターでは何もできないため、今後、何ができるか弁護士に相談することを勧めました。
<アドバイス>
住宅の新築工事、リフォーム工事、除雪作業など様々な請負契約で、代金を全額前払いしたにもかかわらず、全く工事をしなかったり、一部工事に着手したものの中断したまま放置され、その後業者と連絡がとれなくなったという相談が増加しています。業者を知ったきっかけが、事例のようなインターネットの事業者紹介サイトだったというケースが少なくありません。しかし、事業者紹介サイトの利用者同士でトラブルがあった場合、トラブルは両者で解決するようにという利用規約により、サイト運営側は一切責任を負わず、トラブルが発生しても助けてくれないと考えるべきです。そのようなサイトから紹介された事業者は、必ずしも信用できるとは限りません。
請負工事等では、工事の着手前に代金の10%~30%、その後工事の進捗状況に応じて中間金、完成後に残金を支払う出来高払いをするのが一般的です。そもそも、請負契約における代金支払い時期について定めた民法の規定では、「報酬は、仕事の目的物の引き渡しと同時に支払わなければならない」と、報酬の支払いは目的物の引き渡しと同時履行の関係に立つと規定されています。この規定と異なる出来高払いを採用しているのは、建設業法により、下請業者の保護を目的としているためです。しかしながら、工事前に全額もしくは全額に近い金額を請求するということは、請負業者が相当に資金繰りに困っている可能性が高いともいえますので、そのような業者と契約をする場合は、そのリスクを慎重に判断してください。県内では今年、複数のリフォーム工事の契約をしながら工事をせず、返金もしなかった者が詐欺罪で逮捕された事件も発生しています。
また、工事に着手したケースでも、とても専門家がしたとは思えない、ずさんな施工内容であるにもかかわらず、再三お願いしても全く補修がされないという相談もありました。
請負工事をする場合は、複数の業者から見積もりを取り、施工実績を確認したり、質問を投げかけた際に、きちんと専門知識を持って応答できているかなどを見極めて依頼する業者を決めましょう。それでも、不安な時は信頼できる団体に業者選びの助言をもらいましょう。
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